2012年12月、「住宅・建築物省CO2先導事業」※に採択されたプロジェクト「住宅断熱改修によるCO2削減量の見える化と証書化を目指す社会実験」で実際に省エネリフォームを行った神奈川県茅ヶ崎市のU邸(築52年)にお邪魔したホームズ。 今回の目的は、お施主様へのインタビューとサーモグラフィ撮影です。
U邸は床壁天井窓をフルリフォームし、Q値が11.74から2.25に劇的に向上したお宅です。お邪魔するまでは、Q値の数字だけを見て「本当にそんなに性能が上がったの?」 と半信半疑でしたが、玄関に入ってすぐ、断熱性能の高さを実感しました。 外は10℃を下回っている状態で、しかも室内の暖房はホットカーペットのみだというのに、どの 部屋にいっても寒さを感じないのです。
U様のお話では、リフォーム前は家のどこにいても寒く、洗濯機やトイレの水 が凍ることもあったそうで・・・。「 リフォームをしてからは、真冬の朝、起床後でも靴下をはかずに裸足で過ごすことが多くなった」とおっしゃっていました。加えて、漬物は温度次第で味や漬け込む時間が変わるそうですが、白菜の漬物が早く漬かるようになったそうです(この変化に一番驚かされた、ともおっしゃっていました)。
実際にサーモグラフィ撮影をしてみると、壁や天井に熱橋(熱的な弱点)がほとんどあり ませんでした。木造住宅の場合、断熱性能や気密性能が良くないと柱や梁の部分が熱橋になりますが、U邸は熱橋が最小限に抑えられていていました。 土間コンの下に断熱材を敷きこんだという玄関も表面温度が14℃と好成績でした。
(上:サーモグラフィ撮影風景 中:居間の天井、玄関に接している部分 下:玄関の土間コンクリートの部分)
U邸のリフォームでは、築52年という物件においても、施工の精度が高く気密の向上がなされれば、新築同様の高断熱性能が実現できることが確認されました。また、リフォーム前後の実測にもとづく推定Q値を示すことにより、こうしたよい断熱改修工事における、断熱改修後の劇的な断熱性の向上を簡易かつ客観的に示すことができ、加えて、リフォームを行った方の生の声やサーモグラフィによる調査を行うことで、数字だけでは見えないプロジェクトの成功度を確認することができたのではないでしょうか。
U邸の「あったかさ」、このブログをご覧の皆様にも伝わりましたか?
※「住宅・建築物省CO2先導事業」とは、CO2排出量が増加傾向にある中、住宅・建築物における省CO2対策を協力に推進し、住宅・建築物の市場価値を高めるとともに、居住・生産環境の向上を図るため、省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトを公募し、支援として整備費等の一部を補助するものです。独立行政法人建築研究所が学識経験者からなる住宅・建築物省CO2先導事業評価委員会による評価をもとに、評価結果を国土交通省に報告し、国土交通省が事業の採択を決定します。